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浄土真宗には忌中や喪中が無いって本当ですか

はい。本来浄土真宗には「忌中」や「喪中」という考え方は存在しません。

親族が亡くなった時に遺族が一定期間身を慎み喪に服する期間。
死は穢れと考えられており、穢れが強い期間を「忌」と言い、穢れが薄らいだ期間を「喪」と言います。

「忌」が明けるのが亡くなってから四十九日目(満中陰) 「喪」が明けるのが一周忌というのが一般的な考え方です。その期間内は神社へのお参りや祭事、慶事に参加することを慎みます。

「忌」や「喪」という死を穢れとする概念は、「娑婆(人間)世界の命を終えるということは、極楽浄土という、還りつくところへ還らせていただく。つまり仏さまと成られる喜ばしいこと」という考え方の浄土真宗の教えには当てはまらないのです。それ故、私たちは忌や喪に服する必要がないのです。
※また本来仏教自体が死を穢れとは捉えません。神道の影響もあるのではないかと思われます。

敢えて「忌」を用いるのならば、「忌」すなわち「己の心」。死という縁を前にして、私自身の心と向き合うための期間が「忌中」と言えるかもしれません。死と向き合うために必要な時間は人それぞれです。期間を定められるものではありません。

上記の意味から、浄土真宗では喪中ハガキも用いません。ただし、こちらが浄土真宗の門徒だと先方が理解してるとは限りませんし、うちは浄土真宗だから!と頑なに教えを守り世間との軋轢を生んでも仕方ありません。一般的な常識に配慮しつつ、浄土真宗の教えからもかけ離れず、尚且つ故人の友人知人に連絡を送りたい。その時は喪中ハガキではなく年賀欠礼ハガキを出しましょう。

ご参考として、現在の喪中期間とされる一年間ですが、この考え方が広まったのは昭和30年頃からです。同時に年賀欠礼ハガキも一緒に広まりました。
元々は「服忌令(ぶっきれい)」と言う法律が江戸時代に布告(昭和22年に廃止)されました。これは、故人との続柄によって忌中・喪中期間(忌は神社への参拝、家庭のまつりを遠慮する期間、喪は精神的に故人を偲ぶ期間として)が定められていた法律です。この中には、最長13ヶ月の喪はありますが、「一年間」と言う喪中期間の記述は全くないのです。ですから「昔から一年間と決まっている」とは言っても、実際は60年ぐらいの歴史しかないのです。

なお、キリスト教も浄土真宗と同様に、「死は神に召された喜ばしいこと」であるため、忌中・喪中の考え方は存在しません。

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  1. 河原

    浄土真宗西の場合、火葬場での食事の際忌中払いではなく、おときで間違いないですか?

    • 釋法証釋法証

      河原様
      「忌中払い」ではなく、「御齋」で間違い御座いません。
      本来「忌中払い(祓い)」は、四十九日の忌明けの際の食事を指す言葉ですが、
      葬儀後の食事を指すケースが時代と共に変化してきたものです。
      真宗の教義自体に、忌明けはありませんので、どの場面に於いても食事自体を「御齋」と言います。

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